蔵囲昆布

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昆布とワイン


 昆布とワイン?突拍子もない組合せのようですが、実はある共通点があるのです。
 葡萄を育てワインを造る農業と海から昆布を収穫する水産業。自然からの恵みを頂く両者には意外な共通性があります。

昆布の「格付け」

ワイン蔵 よく知られているように、ワインを造る葡萄の木はその土地の土壌、環境に最適な品種のものを植えます。ブルゴーニュ地方ではピノ・ノワール種、ボルドーではカベルネ・ソービニオン種やメルロ種というように昔から特徴的な葡萄からそれぞれのテロワールを具体化するワインが造られます。
           


 昆布の場合はそれぞれの地方で種類が違う昆布の品種が自然と育ちます。知床半島では羅臼昆布、宗谷岬の方では利尻昆布という様に、昔から収穫される昆布はその土地、地域で異なります。大きな潮のぶつかり合うところ、大きな岬を中心に4大昆布の品種が分かれます。北海道の宗谷岬、知床半島、えりも岬、道南の恵山岬でそれぞれ収穫される昆布です。

 そしてワインも昆布も収穫される、土地の地名で流通します。どこで収穫されたかでその種類、価値が変わってくるのですが、昆布の場合は、「収穫浜」が昆布の価値を決定します。日照条件、潮の流れ、山や川の入り具合といった浜の地形や環境が、昆布の出来を左右するのです。そのため、浜はあらかじめ特上浜・上浜・中浜・並浜…といういう様にランク付けされており、収穫浜名さえ確認すれば昆布のランクもおおよそ見当づくようになっています。四大昆布

 それぞれの浜で獲れた昆布は、その大きさを主な基準として一等から六等までの等級に分けられます。最高とされる一等は、大きいばかりでなく、傷無し・色艶良しと、品質・見かけともに揃ったものでなくてはなりません。1855年に格付けされた五大シャトーのひとつ、『シャトー・ラトゥール』でのグランバン『シャトー・ラトゥール』、セカンドワイン『レ・フォール・ドゥ・ラトゥール』、そして次のクラスのワイン『ポイヤック』と選別されるような品質レベルと同じです。
 (ちなみに、昆布はウニの大好物。しかも上質のものを特に好むようです。1等の昆布とされるためには些細な穴傷一つも禁物ですから、昆布を食べて穴を開けてしまうウニは天敵なのです)
ヴィンテージ昆布

 そしてもう一つ、重要なのが収穫年。その年の気候や、海水の温度・流氷や潮の変化、環境の微妙な変化によって、昆布の特徴が変化します。
 ワインでも、同じ銘柄でもビンテージで価格が全く変わるぐらい、収穫年の気象条件で価値が変わります。夏、葡萄が糖度を増す時期の日照時間が大切です。昆布も6月、7月の実入りする時期の日照時間、水温で昆布の品質が左右されます。もうひとつ、という年もあれば、“グレートヴィンテージ”と呼べるほどにすばらしい昆布が収穫される年もあります。ちなみに香深浜産利尻昆布では平成3年産のものは、その名にふさわしいものでした。
 産地と浜、収穫年を重要視する…昆布の格付けは、ワインのそれを想起させます。さらに、奥井海生堂では収穫された昆布を蔵で一年以上寝かせることで、昆布を枯らせ、うま味をひきだします。蔵囲いし、熟成し、うま味を凝縮した昆布。京の懐石料亭では欠かせない素材です。蔵囲昆布でダシをひくと、深い琥珀色と雑味の一切ない味に驚かされます。熟成を深め、うま味を磨きぬいた昆布からひくダシは、まるで極上のワインのようです。

昆布のテロワール

ブローバンス コート・ドゥ・リュベロン ワインの本場、フランスでは、ワインを作る葡萄の原産地統制名称を管理する法律、アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ(A.O.C)が制定されています。ワインがその生産地を名乗るための法律です。ワインの個性、品質はその土地の土壌、気候、風土やその土地の人々、文化、風習と深く結びついたものであると考えられており、そのため、収穫される場所がワインの価値を決めることになります。
礼文島遠景

 昆布にも同じことがいえます。奥井海生堂の先代は「昆布は山が育てる」と話していました。つまり自然の環境が大切なのです。山から川が流れ込むところに良い昆布が育ちます。川が、自然のミネラルたっぷりの栄養素を肥料のように海にばら撒くのです。その養分で、昆布は海の中でしっかりと育っていきます。
 昆布の産地を訪れた方は、有名な浜はどこも同じような風景であるということに気づかれるでしょう。ゆったりとした潮の流れ、朝陽のたっぷりとあたる磯。なだらかな岩場が続く黒々とした瀬。それに山から流れ出る川。どれもが大切な要素です。素晴らしい自然が立派な昆布を育てます。

グラン・クリュの昆布

 前述のように、昔から昆布の生産地では「浜格差」と呼ばれるものがあります。最高品質の昆布が収穫される浜は別格浜、そこから順に上浜、中浜、波浜とランク付けされます。ワインのそれぞれの地域が1級、2級、3級・・とランクされるのと同じです。そしてどの種類の昆布にも、最上級のクラスの昆布が収穫される特別な浜、別格浜と呼ばれる収穫浜があります。利尻昆布では「香深浜」、山出し昆布では「尾札部浜」日高昆布では「井寒台浜」というように、昔から決まっております。
 弊社が力を傾注する利尻昆布の別格浜、香深浜産利尻昆布が、アペラシオン・リシリ・コントローレ(A.R.C)のレブントウ・クロ・デ・カフカ2006とワイン風に呼ばれる時代が来るかもしれません。そのときにあわせて弊社も今から一人でも多くの「コブリエ」を育成し、日本一うるさい?お客様にも対応できるようにしたいと考えております。
昆布蔵内部 もう一つの重要な要素、昆布のビンテージを管理する為のカーヴ、昆布蔵を弊社では完備しております。温度・湿度を整え昆布に最適な環境を作り、一年、二年、三年と昆布を寝かせ、うま味を磨く、蔵囲昆布の専用蔵です。
 昔は土蔵で蔵囲昆布を管理しておりましたが、1945年、先の大戦の敦賀大空襲で消失。戦後は新しく空調の完備した近代的な蔵に生まれ変わりました。
 昆布を長く置くと、どうしても表面が白くなってきたり(昆布のうま味成分、マンニットが原因)、赤く変色してきます。その大きな原因は湿気や光です。その為に昆布を積み上げた大きなブロック毎に「わらで編んだむしろ」で覆い養生し、昔からの方法で昆布を寝かせております。
 必要な時以外の入室を禁止。湿度、光、温度から昆布を守り、ゆったりと流れる時間の中で、ワインのように深く熟成していくのを見守っております。そしてその蔵の中には、A.R.Cの唯一の1級浜、香深浜産利尻昆布の、平成元年からの全てのビンテージを取り揃えており、他にも多くの逸品昆布が眠っております。

洋の東西を越えて

 昆布とワイン。私どもはヨーロッパの昔からの伝統、文化、格式に支えられたワインの世界から学ぶべき事の実に多い事に驚いております。ワインを楽しむ為の最も重要な情報、その葡萄の収穫地、収穫年度が、同じように昆布の世界でも大切な情報です。そしてその情報を、お客様へ正しくお知らせをしていくことで、昆布をもっと楽しんで頂けると思いますし、又、食品の信頼回復へとつながって行くと考えております。産地呼称は昆布の業界でも大切な事です。

 シャンパーニュ地方のあるワイナリーでは地下のワインカーヴが総延長50キロメートルに及ぶ大きな貯蔵庫がある、と聞いた事があります。貯蔵庫がワイナリーの評価にもつながります。弊社では4箇所の昆布倉庫の内、本社工場とつながっている第一倉庫を『蔵囲昆布』専用蔵として空調等の設備を他の倉庫より厳重に管理し、長期間の昆布の保管に最適な環境を作り出しております。




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