2016年6月30日(木)

トピックス プレスリリース

ライシャワー研究所所長のベスター教授御来社 (その2 二日目は南越前町に案内をしました)     平成28年6月29日

敦賀市で一泊された皆様、翌朝も弊社でお迎え。偶然にも福井新聞社のお仕事で昨日より来福されていた、向笠千恵子先生が弊社におこしになり、ベスター教授一行と鉢合わせ。向笠先生は教授のことは良くご存知で、あの「築地」の本を書かれた先生ですね、と。お互い素晴らしい出会いを弊社でして頂きました。

北海道で収穫される昆布が、どうして福井県、敦賀市に集中してきたのか。弊社はその疑問をご説明する為に、南越前町へご案内しました。

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教授のご希望もあり、昆布を敦賀へ運んだ「北前船」資料館のある南越前町へご案内をしました。敦賀から車で40分ぐらい北にあります。道中、海辺の素晴らしい集落に奥様も大感激されていました。私も久し振りでした。その美しさに今更ながら、驚きました。

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資料館を兼ねた「北前船主の館・右近家」は水曜日が閉館日。それにもかかわらず、河野北前船研究会の右近会長や南越前町観光まちづくり課の方々にお出迎えを頂きました。まずは長屋門の内側にある旧街道を歩きました。素晴らしく整備がされ、往時のしのばれる街道に一同感激しました。

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右近家やその分家、婚姻関係のある、同じく船主の館。右近家の菩提寺が並ぶ家並みは圧巻でした。しばらく歩くと。船頭さんや乗組員の家々が並びます。北前船遺構としては一級との事。館のある旧河野村は北前船の寄港地ではなく、船主をはじめ乗組員一同の村です。その為に北前船の研究にはとても貴重な地域となっています。

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全国各地から運ばれた、贅をつくした建築資材や礎石、庭石が当時の繁栄した北前船文化として、残っていました。船主自らが全国から買い集めた荷物が、まずここ河野村で降ろされ、その後に敦賀港に入り、北海道で集められた俵物と呼ばれる、昆布や鰊が降ろされたそうです。天保時代に建てられた館は、明治中期に大改装されたそうです。立派な横柱(鴨居)はアメリカから運ばれました。

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幾つもの蔵が並びます。それぞれの中に、船箪笥や生活用具、数多くの資料が並んでいました。南越前町が保管する2万点を超える古文書もこれからの解明が待たれます。

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本宅の上の山に昭和10年に建てられた西洋館にもご案内を頂きました。

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急な山道が少しだけ続きます。眺めの素晴らしさに一休みです。

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まるで地中海にある、コートダジュールの保養地の別荘にいるような雰囲気でした。

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不況が続いた昭和のはじめ、地元の方々を救う為の普請だったようです。延べ人数、数万人の方々が携わった工事でした。

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山荘を造った11代当主、右近権左衛門氏の肖像画が飾られたいました。

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昭和初期に作られた、木を模した柵。今では同じようなものが多く、珍しくもありませんが、当時としては大変貴重な造作だったようです。

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最後にお世話になった方々との記念撮影です。館の玄関先で撮らせて頂きました。

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南越前町のまちづくりが進んでいます。現在は残っていない建物の復元も立派に出来ていました。庭の配置も資料にもとずいて造られました。

 

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一服処として素晴らしい雰囲気の中、美味しいコーヒーがいただけます。船頭をされていた家柄の、若き竹森さん自慢のドリップコーヒーが楽しめます。北前船コーヒー店。是非ご利用ください。

 

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北前コーヒーのご主人、竹森さんが拙書「昆布と日本人」を読んでおられました。彼にサインを求められ、恥ずかしながら書かせて頂きました。

ベスター教授一行には「右近家」、大変喜ばれました。日本の近代化に果たした、北前船の役割のその大きさ、スケールの大きさに皆さん驚かれていました。彼の今後の研究に深く関わっていくようです。この地域の果たしてきた役割の大きさから、福井県のイメージも変わったようです。

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最後にベスター教授著「築地」の前書きの一説をご紹介します。「伝統的なフランス料理が海藻や生魚を使わないのと同じように、新古典派のモデルは、心理学、人類学、ないし社会学から導かれる仮定を置かない。しかし私は、経済モデルの素材の性質を限定してしまうような規則には、反対である。」

教授の今回の旅行の大きな目的は「海藻、昆布」だったようです。

南越前町の皆様、本当にお世話になり、有難うございました。ベスター教授一行の皆様、お疲れ様でした。